日本の気候は、地震や台風など、自然災害が頻繁に発生する地域も少なくありません。そんな時、私たちの生活を支えている電力が途絶えてしまうと、生活は大きく変わってしまいます。
近年、そんな非常時に役立つとして注目されているのが「ポータブル電源」です。しかし、「災害なんてそうそう起こらないし、高価なポータブル電源を買うのはちょっと…」と考える方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ポータブル電源のメリット・デメリットを具体例を交えて詳しく解説し、ポータブル電源が本当に必要なのかどうかを一緒に考えていきましょう。
災害時にポータブル電源がいらないと言われる理由
停電しても電力はすぐ復旧するから
「災害時にポータブル電源はなくても大丈夫」という意見を耳にします。その理由の一つとしてよく挙げられるのが、「日本の電力はすぐに復旧するから」というものです。
確かに、普段の生活の中で大規模な停電を経験する機会は少なく、日本の電力供給は世界的に見ても安定している方です。そのため、「まさか自分の家にまで電気が来なくなるなんて…」と、なかなかピンと来ない人もいるでしょう。
しかし、災害時は状況が異なります。特に大きな地震や台風など、インフラに大きなダメージを与えるような災害が発生した場合、復旧までに時間がかかることも考えられます。
例えば、過去の災害では、数日、場合によっては数週間も電力が復旧しなかった地域もありました。そんな時に、スマートフォンやラジオで情報を得たり、照明を使ったりするためには、ポータブル電源が非常に役立ちます。
「でも、そんなに大きな災害は滅多にないだろう」と思う方もいるかもしれません。しかし、いつどこで災害が起こるかは誰にもわかりません。備えあれば憂いなし、という言葉があるように、災害に備えておくことは決して無駄ではありません。
情報収集のラジオにポタ電は不要
「ラジオさえあれば十分」という意見があります。
確かに、ラジオは災害時に重要な情報源です。最新の防災用ラジオは、乾電池だけでなく、手回し充電やソーラー充電、バッテリー充電など、様々な充電方法に対応しています。中には、スマートフォンを充電できるものもあり、とても便利ですよね。
しかし、これらのラジオは、あくまでも情報収集に特化していることが多いんです。スマートフォンを充電できても、その容量は限られていて、大容量のポータブル電源と比べると、電力をたくさん使う家電製品を動かすことは難しいでしょう。
例えば、スマートフォンで長時間動画を見たり、電気毛布を使ったり、小さな冷蔵庫を動かしたり…といった使い方は難しいことが多いんです。
つまり、「情報収集」という点ではラジオは十分ですが、「電力を供給する」という点では、ポータブル電源の方が幅広い用途に対応できるというわけです。
災害時にラジオは非常に役立ちますが、スマートフォンを充電したり、様々な家電製品を使いたい場合には、ポータブル電源があるとさらに安心できるということです。
もし、停電が長引いた場合、スマートフォンで家族と連絡を取り合いたい、懐中電灯で部屋を明るくしたい、小さなファンで涼を取りたい…といった状況が考えられます。
このような時に、ポータブル電源があれば、これらの家電製品を動かすことができるので、快適に過ごすことができます。
もちろん、ポータブル電源は高価なため、購入をためらう方もいるかもしれません。しかし、いざという時に役立つことを考えると、防災グッズの一つとして検討してみる価値はあるのではないでしょうか。
災害時のためだけにポータブル電源を買おうと思わない
「災害時にポータブル電源なんて、普段使いもしないし、高い買い物だから必要ない」
こんな風に考える人もいるかもしれません。確かに、高性能なポータブル電源は数十万円もするものがあり、アウトドアなど特別な用途がない限り、頻繁に使う機会は少ないでしょう。
例えば、キャンプや車中泊が趣味の人なら、ポータブル電源があると、スマートフォンやタブレットを充電したり、小型家電製品を使ったりと、活躍の場がたくさんあります。しかし、普段からアウトドアを楽しまない人にとっては、ポータブル電源は宝の持ち腐れになってしまうかもしれません。
また、ポータブル電源の価格も気になるところです。高性能なモデルは、家電製品並みの価格がするため、購入をためらう人がいるのも無理はありません。
災害時ポータブル電源が役立つケース
停電が長引く災害時、私たちの生活は大きく変わります。そんな時、ポータブル電源は暮らしを支える頼もしい存在となるでしょう。
LEDライトで明かりをつける
停電で部屋が真っ暗になった時、心の支えとなるのが明かりです。ポータブル電源があれば、LEDランタンやヘッドライト、充電式の懐中電灯などに電力を供給し、長時間部屋を明るく照らすことができます。
例えば、夜間に地震が発生し、停電になったとします。真っ暗な部屋の中で、小さなお子さんが泣き出してしまったり、家族が不安を感じたりするかもしれません。そんな時、ポータブル電源があれば、すぐに部屋を明るくすることができます。
また、暗闇の中で物を探したり、移動したりする際に、思わぬ怪我をしてしまう危険性も高まります。ポータブル電源があれば、安全に部屋の中を移動したり、必要なものを探したりすることができます。
さらに、ポータブル電源の中には、照明機能が内蔵されているものもあります。これがあれば、わざわざ別の照明器具を用意する必要がなく、手軽に明かりを確保することができます。
災害時の停電は、いつ起こるかわかりません。ポータブル電源を準備しておくことで、暗い部屋で過ごす不安を軽減し、家族の安全を守ることができます。
スマホの充電
ポータブル電源があればスマートフォンやラジオの充電に困ることはありません。モバイルバッテリーでは容量が足りずに不安を感じることもあるかもしれませんが、大容量のポータブル電源なら、長時間にわたってこれらの機器を使用し続けることができます。
これで最新の災害情報を入手したり、家族や友人と連絡を取り合ったりすることが可能になります。
また、ポータブル電源はスマートフォンやラジオだけでなく、パソコンの充電にも対応しているものが多くあります。もし、災害時でも仕事をしなければならない状況になったとしても、ポータブル電源があれば、パソコンを使用し、業務を継続することができます。
食材の冷蔵、冷凍保存ができる
災害時、冷蔵庫が使えなくなると、生鮮食品はすぐに傷んでしまい、食料の確保が大きな問題となります。しかし、ポータブル電源があれば、冷蔵庫に電力を供給し、食材を冷蔵・冷凍状態で保存することができます。
例えば、牛乳や肉などの生鮮食品はもちろん、冷凍庫に入っているアイスクリームや冷凍野菜なども、ある程度は品質を保つことができます。
これで、災害時でも普段通りの食事をとることができ、特に小さなお子様がいる家庭にとっては、栄養バランスの取れた食事を継続的に提供できるという点で大きなメリットです。
冷暖房器具が使える
災害時、真夏や真冬で冷暖房器具が使えないことが大きな問題となります。
ポータブル電源があれば、そんな時でもファンやヒーターといった冷暖房器具を使うことができます。夏の酷暑や冬の厳寒から、あなたやご家族を守り、快適な環境を保つことができるのです。
例えば、停電でエアコンが使えない真夏の夜、ポータブル電源で扇風機を動かして涼むことができます。また、冬の寒さから身を守るため、ヒーターで部屋を暖めることも可能です。
特に、小さなお子さんやご高齢の方、病気をお持ちの方など、温度変化に敏感な方がいるご家庭では、ポータブル電源はまさに救世主と言えるでしょう。ポータブル電源があれば、安心して避難生活を送ることができます。
お湯が沸かせる、簡単な調理ができる
災害時は保存食に頼りがちになり、心身ともに疲れてしまいますよね。特に、小さなお子さんやご年寄りがいるご家庭では、家族の食事にも気を配らなければなりません。ポータブル電源があれば、レトルトカレーを温めたり、お湯を沸かしてカップ麺を作ったりするのも可能です。
温かい食事は、寒い避難所で過ごす私たちに、心と体の栄養を与えてくれます。これにより、災害時でも少しでも快適に、そして元気に過ごすことができるのです。
災害時にポータブル電源が役立った事例
冷蔵庫の食材を無駄にしなくて済んだ
先日、我が家の地域を直撃した台風で、実際にポータブル電源が大活躍しました。停電は数日間続き、冷蔵庫の温度もだんだん上がってきました。しかし、事前に準備していたポータブル電源のおかげで、小型の冷蔵庫を稼働させることができ、大切な食材を腐らせることなく保存することができました。
赤ちゃんがいる家庭での活用
夜中に突然停電し、真っ暗になった部屋で、赤ちゃんが泣き出したのを覚えています。まだ小さかった子供にミルクをあげなければなりませんでしたが、停電のためお湯を沸かすことができず、とても焦りました。
そんな時、事前に準備していたポータブル電源が役に立ちました。ポータブル電源に繋いだ電気ケトルでお湯を沸かし、ミルクを作ることができました。また、温めたタオルで赤ちゃんの体を拭いてあげたり、スマートフォンを充電して災害情報を調べたり、ラジオを聴いたりすることもできました。
もしポータブル電源がなかったら、赤ちゃんにミルクをあげることができず、とても不安な時間を過ごしていたと思います。ポータブル電源のおかげで、停電中でも赤ちゃんに安心してミルクを飲ませることができ、また、家族みんなで落ち着いて過ごすことができました。
この経験から、ポータブル電源は、赤ちゃんがいる家庭にとって、災害時の必需品だと実感しました。
スマホの充電切れから娘を守った
あの日、停電で我が家は真っ暗になりました。カセットコンロでご飯は炊けたものの、テレビもラジオも使えず、娘はいつもと違う状況に不安げでした。そんな時、ポータブル電源が私たちの救世主となったのです。
娘は、大好きな動画や音楽を聞きたがりました。普段通りの生活を送ることで、少しでも不安を和らげようとしたのでしょう。でも、停電の中ではそれも叶いません。スマートフォンは、娘にとって唯一の心の支えでした。
しかし、充電がどんどん減っていく様子を見て、私も焦りを感じていました。もし、スマホの充電が切れてしまったら、娘はもっと不安になってしまうかもしれません。
そんな時、ポータブル電源の存在を思い出しました。普段は防災グッズとして準備しておいたものですが、まさかこんな形で役に立つとは思いませんでした。ポータブル電源にスマートフォンを繋ぎ、充電を開始。娘は再び、大好きな動画の世界に没頭することができました。
ポータブル電源のおかげで、私たちは停電の中でも、いつものように過ごすことができました。もし、ポータブル電源がなかったら、娘はもっと不安を感じ、私も心の余裕を失っていたかもしれません。今回の経験を通して、ポータブル電源の大切さを改めて実感しました。
防災時ポータブル電源のメリット
モデルによってはソーラーパネル発電ができる
ポータブル電源のメリットとして特に注目したいのが、ソーラー充電に対応している機種があるという点です。
太陽光パネルを使って充電できるため、災害時など、通常の電源が使えない状況でも、太陽光さえあれば電力を得ることができます。例えば、停電が長期化した場合、スマートフォンを充電して家族や友人と連絡を取ったり、ラジオで情報収集したり、懐中電灯として利用したりすることができます。
防災時ポータブル電源のデメリット
充電に時間がかかる
ポータブル電源は、災害時にも役立つ便利なアイテムですが、充電時間については注意が必要です。特に、大容量のポータブル電源の場合、満充電まで時間がかかることが多く、例えば、1000Whの大容量モデルでは、家庭用コンセントから充電する場合、10時間以上かかることもあります。
また、ソーラーパネルで充電する場合も、天候や日照条件によって充電速度が大きく左右されます。曇りや雨の日には充電が遅くなったり、全くできなくなる場合もあります。そのため、災害時にすぐに使えるように、普段から十分な充電をしておくことが大切です。
例えば、停電が発生し、冷蔵庫の電源が落ちた場合、食品の鮮度を保つためにポータブル電源で冷蔵庫を動かしたいとします。しかし、ポータブル電源が満充電でない場合、すぐに冷蔵庫に電源を供給することができません。
劣化しないように管理しておく手間
ポータブル電源を長期間使わない場合は、バッテリーの劣化を防ぐために、ある程度の充電状態を保ったまま保管する必要があります。
また、高温多湿な場所での保管は、バッテリーの寿命を縮めてしまうため注意が必要です。さらに、過充電や過放電もバッテリーにダメージを与える原因となるため、取扱説明書に記載されている充電方法を厳守することが大切です。
もし、これらの注意点を守らずに放置してしまうと、いざ災害が起こった際に、ポータブル電源が使えないという事態に陥る可能性があります。せっかく備えていた防災グッズが役に立たない事態は何としても避けたいですよね

ポータブル電源はできれば日常の中でもちょこちょこ使ってあげたほうが電池の消耗が避けられて、ポータブル電源を長く使う上では大事なこと。
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